理学部 生物分子科学科

タンパク質とDNAの相互作用を可視化。 毒素の働きを解明し、創薬につなげていく。

後藤 勝 准教授

  • 構造生物化学,創薬
タンパク質とDNAの相互作用を可視化。
毒素の働きを解明し、創薬につなげていく。
研究テーマは、タンパク質の機能を可視化して明らかにすることです。例えば、食中毒を引き起こす大腸菌O-157の毒素は、タンパク質でできており、細胞内でリボソームに作用して、正常な体の働きに必要なタンパク質合成をストップさせます。この毒素タンパク質を可視化して、その機能を阻害する化合物が開発できれば、食中毒の薬として利用することができます。このようなタンパク質の働きを探ること、またその機能を止めるメカニズムを明らかにすることが私の研究内容です。 研究には、X線結晶構造解析という手法を用います。まず、遺伝子の組換え、大腸菌の培養、タンパク質の精製などを経て、高純度タンパク質から結晶を作ります。次に、その結晶にX線を当て、得られた回折強度データを解析することで、電子密度が得られます。そこからパソコンで3次元モデルを組み立てると、タンパク質を可視化できるという仕組みです。3次元モデルを基に描かれたリボン図では、タンパク質の分子表面のどこに隙間があり、どんな化合物が結合しやすくなるかを把握でき、Structure Based Drug Designと呼ばれる創薬研究としても応用することができます。 現在は、転写因子とDNAの相互作用を明らかにする研究や毒素タンパク質の働きを止める阻害剤の開発にも取り組んでいます。

後藤 勝 准教授

大阪市立大学大学院理学研究科博士課程修了。大阪大学大学院理学研究科特任研究員、大阪医科大学特別研究員、東邦大学理学部生物分子科学科講師を経て、2018年より現職。

[研究内容]

  • 酵素の立体構造と機能
  • 酵素の基質認識と反応機構
  • キノプロテインの構造解析
理学部 生物分子科学科
研究室一覧へ戻る