桑原 俊介 教授
構造有機化学教室
キラル化合物で「分子マシン」を開発。 医療や材料開発に応用したい。
私たちの身体の中には、物質の運搬を担うタンパク質をはじめとする「分子マシン」が存在します。これは外部からエネルギーを得て、機械的な動作によってさまざまな働きをする分子のこと。近年、このような分子マシンを人工的につくる試みが注目されています。複雑な動作を行う分子マシンを開発するには、はじめに分子サイズの「部品」を作製する必要があります。光や熱などのエネルギーを与えることで、機械のように動く分子マシンの部品を合成することが私たちの研究テーマです。 研究のキーワードは「キラル」です。左右の手のように、鏡像関係にあって重ね合わせることのできない物質をキラルと呼びます。キラルな化合物を巧く利用すると、一方向のみに回転する「分子モーター」など、興味深い動作を示す分子マシンの部品を合成することができます。 将来的には分子モーターを応用し、目的の部位で薬物を放出したり、狙ったがん細胞を選択的に破壊したりする分子マシンを開発することをめざしています。
桑原 俊介 教授
青山学院大学理工学部化学科卒業。東北大学大学院理学研究科化学専攻博士前期課程修了、博士後期課程中途で同大学反応化学研究所助手に着任。博士(理学)。東北大学多元物質科学研究所助教などを経て、2014年4月より現職。米国ライス大学客員研究員として留学経験を持つ。
[研究内容]
- 新規分子マシンの合成と機能評価
- キラル化合物の合成、分子認識、絶対配置決定法の開発