理学部 生命圏環境科学科

イワムシのはたらきを解明し環境浄化システムへの応用をめざす。

齋藤 敦子 教授

  • 生態系,環境汚染
イワムシのはたらきを解明し環境浄化システムへの応用をめざす。
東京湾沿岸の干潟には、二枚貝や環形動物など数多くの底生生物が棲息しています。私の研究室では、環形動物の一種であるイワムシが、干潟の底質に溜まった多環芳香族炭化水素(PAHs)という環境汚染物質を約100倍の高濃度に濃縮して糞として排泄すること、また排泄された糞中のPAHs濃度が、わずか2時間ほどで半減するという現象を発見しました。通常、環境中でのPAHsの半減期は数週間から数カ月とされているので、その速さは常識を覆すものです。化石燃料が燃焼するときに大気中に排出されるものでもあるPAHsは、その一部は発ガン性があり、生態系への影響が危惧されている物質。PAHs以外にも、環境汚染物質のいくつかがイワムシ糞中で濃縮され、同様に高速に濃度低下することがわかっています。 現在めざしているのは、このイワムシによる汚染物質の濃縮と分解のメカニズムを解明すること。ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)などの分析機器を用いて、研究を進めています。将来的にはこの現象を環境浄化システムの開発へと応用させていきたいと考えています。

齋藤 敦子 教授

東邦大学理学部生物分子科学科卒業。大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。国立国際医療センター研究所(現国立国際医療研究センター研究所)研究員、千葉大学工学部博士研究員、日本大学生産工学部博士研究員を経て、2020年より現職。

[研究内容]

  • ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、原子吸光分光光度計等の分析機器を用いた、環境試料中の有機及び無機汚染物質の分析や、環境試料中の有機汚染物質の簡易分析法の開発など
理学部 生命圏環境科学科
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