理学部 生命圏環境科学科

「寄生虫」という未知の研究領域から身近な生態系の謎に迫る。

脇 司 准教授

  • 生態系,寄生虫
「寄生虫」という未知の研究領域から身近な生態系の謎に迫る。
「寄生」という生物同士の関係性について研究しています。寄生虫は、生態学的には非常に重要な存在です。例えばカマキリに寄生するハリガネムシは、宿主の行動を操作して、川に飛び込ませてしまうことができます。これによって、もともと水生生物のハリガネムシは川の中で交尾・産卵をします。そして、川に落ちたカマキリは淡水魚のエサとなります。これは寄生虫によって生態系が保たれてきた一例です。 そんな寄生虫ですが、サナダムシなどヒトに関係するもの以外は、研究対象として注目されておらず、どの種がどの生物にどれだけ寄生しているかほぼわかっていません。それを調べ、生態系の謎に迫るのが我々の使命です。 私の専門はカタツムリの寄生虫研究ですが、研究室の学生たちは、ヤスデやナメクジなど各々の研究対象を採集・解剖して、寄生虫を調べています。実験では、感染している個体・していない個体の違いを調べたり、寄生虫の遺伝子解析を行ったりします。寄生虫研究という未知の領域を自ら開拓する挑戦を通して、自分で考える力、研究をやり遂げるバイタリティーを身につけてほしいと思っています。

脇 司 准教授

東京大学農学部卒業後、東京大学大学院農学生命研究科修了。博士(農学)。日本学術振興会特別研究員、済州大学校博士研究員、公益財団法人目黒寄生虫館研究員を経て、2022年から現職。専門は寄生虫学、生態学。主にカタツムリなど、陸産貝類の寄生生物を研究している。

[研究内容]

  • 野外における寄生虫の生態と多様性
  • 野外の寄生虫のDNAデータベース作成
  • その他、寄生虫の宿主動物となる小型無脊椎動物の生態
理学部 生命圏環境科学科
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