看護学部 看護学科

看護職者としての“構え”、看護師・看護学生“らしさ”を探究する基礎看護学

菊池 麻由美 教授 / 小坂 志保 准教授 / 渡邉 奈穂 講師

  • 基礎看護学,ケア
看護職者としての“構え”、看護師・看護学生“らしさ”を探究する基礎看護学
 最も基礎的な看護の実践力、つまり〝看護〟に必要な基本的な知識、技術、態度の醸成に関わるのが基礎看護学だ。
「基礎看護学は、看護教育の導入部に位置づけられています。本学入学前は〝普通の高校生〟、つまり非医療者であった学生たちが看護学部の学生となり、さらに医療専門職へと育つための基盤を作るのが、当研究室の大きな使命です」
 そう語るのは、菊池麻由美教授である。
「授業はまず『看護とは何か』から始まります。初めに学生たちが戸惑うのは、大学に入って出会う〝看護〟がテレビドラマなどで観た〝華やかさ〟〝優しさ〟とは大きく異なる点です。そうした〝違和感〟を〝責任感〟に変える。当研究室では学生が看護学生らしく、さらには看護職らしく成長していくサポートをしています」
 基礎看護学の研究範囲は非常に広いが、菊池教授らは〝らしく育つ〟現象に着目し、『教員が捉える看護学生の看護職としての成長』をテーマにした共同研究に取り組んでいる。
「私は、筋ジストロフィーをはじめとする神経・筋疾患の患者さんが、長期療養する専門病棟で行われる看護について研究してきました。
 例えば、患者さんと阿吽の呼吸で行うポジショニングの技の研究です。筋ジストロフィーは運動機能障害を主な症状とする進行性の疾患で、この病棟で生涯を暮らす方もいます。その患者さんと一緒に生活している看護師は特異な環境の中で経験を積みながら、徐々にその病棟ならではの技を身につけ、その病棟の看護師らしく振る舞うようになります。それは病棟看護師もオペ室の看護師も、ドクターヘリの看護師も同様です。スペシャリストたちにはそれぞれの専門分野で身につける〝構え〟があります。
 私は、新幹線の車内で面識のない方から『〇〇看護学会に行くのですか?』と声をかけられたことがあります。その方は私の姿、立ち振る舞いに、看護師の〝構え〟を見抜いたのかもしれません。この〝構え〟を研究の手がかりに、意識せずに身につける〝らしさ〟を探究しています。
 看護職に限らず、教育や保育などケアワークのスペシャリストと哲学者とともに『ケアの哲学学会』を開催し、〝看護とは何?〟〝ケアとは何?〟〝ケアに通底する本質は何?〟についてのディスカッションを重ねています。自然科学の研究方法とは異なるやり方で、看護ケアの根拠を追求できるのも、基礎看護学の奥深さであると思っています」
 自らを〝自然科学系総合大学である東邦大学看護学部のマイノリティ〟と称する菊池教授の探究心は尽きることがない。
看護学部 看護学科
研究室一覧へ戻る