理学部 物理学科

日々新しい物理現象を求め、飽くなき挑戦を続ける学術的“宝探し”の拠点

田嶋 尚也 教授 / 川椙 義高 准教授

  • 物性物理学,超電導
日々新しい物理現象を求め、飽くなき挑戦を続ける学術的“宝探し”の拠点
物質がもつ多様な巨視的性質(力学的、電気的、磁気的、熱的性質)を、分子・原子・電子という微視的な性質から、その原理や普遍性を解明し、自然界の法則を見出していくのが、物理学の一分野である物性物理学の研究領域である。とはいっても、物性物理学で扱われる問題は多様であり、物性物理学教室では、(高温)超伝導現象のメカニズムを解明することも中心的な課題の一つ。そのなかには有機物で超伝導になる物質の研究もあり、知的好奇心旺盛な学生たちに人気がある。

「確かに人気があるのですが、学生たちの動向を見ていると、どうやら〝物質=超伝導〟という意識が強いようで、逆に〝物質中の物理〟ということについては、あまりよく知らないというのが率直な感想です。超伝導のほかにも、0.1Kまでの極低温で起きる面白い物理(量子)現象を味わえるのが、当教室の魅力なのです」
そう語るのは、東邦大学理学部出身で固体物理が専門の田嶋尚也教授である。

一方、同じく東邦大学理学部出身で固体電子物性や電界効果を用いた物性制御を専門にしているのが、川椙義高准教授だ。
「本学の物理学科は他大学に比べ、伝統的に女子学生の比率が高いのですが、その中でも特に当教室からは代々、優れた女性サイエンティストが誕生しています。その一方、男子学生の活躍も目覚しいものがあり、2020年に行われた日本物理学会秋季大会において、当教室の櫻糀大仁さん(当時、博士前期課程1年に在籍)が日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました(発表タイトル『量子スピン液体候補物質 k-(BEDT-TTF)2Cu2(CN)3に対するひずみ効果と電界効果』)」(川椙准教授)

ほかにも、日本初となる有機超伝導体の発見や、世界初となる角度依存磁気抵抗振動の発見など、物性物理学教室からは、「日本初」「世界初」となる新しい物理現象が、国内外に向けて次々と発信されている。
「近年、固体の中に素粒子ニュートリノや、暗黒物質候補のアクシオンの性質を持つ粒子などが発見され、多くの研究者を魅了しているのが物性物理学の世界です。そうしたなか、鵜野澤佳成氏(2021年3月東邦大学大学院理学研究科博士前期課程修了)の研究成果(『〝質量のない〟電子の不思議な量子相転移』)が、日本物理学会の英文誌(『Journal of the Physical Society of Japan』2020年12月号)に掲載され、注目論文に選出されました。こうした固体の中に潜む新しい物理の〝宝探し〟ができるのも、物性物理学の醍醐味と言えるでしょう。今後も研究室のキャッチフレーズ『新しい物理現象を、物性物理学教室から、物理学科から、東邦大学から、日本から』を体現していきたいと思っています」(田嶋教授)
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