
アセスメント力を向上させ今よりもワンランク上の精神看護学の世界を歩む
渡邊 尚子 教授
- ファミリーヘルス看護領域
衝撃的な体験、それは災害や事故という出来事だけではなく、その人にとって感情的に有害な体験が〝トラウマ〟という心の傷となり、うまく癒せない場合気づかないうちに心を脅かしていく。令和4年度に本学教育賞を受賞した精神看護学が専門の渡邊尚子教授は今、精神看護学教育手法や統合失調症患者への地域支援についてだけでなく、トラウマを抱えた患者のケアにも力を入れて研究を重ねている。
「トラウマとは戦争、災害など特殊な出来事によって生じるもの、と認識している方もまだ多いと思います。しかし現在、虐待、いじめやハラスメントなど、より身近な生活の中で生じる〝心の傷〟として、その概念は拡大しています。」
トラウマの捉え方が一般的になることにより、これまで「うつ病」「統合失調症」「パーソナリティ障害」などと診断されてきた方のなかにも、実はトラウマが影響しているのではないかとの考え方が広まってきたと渡邊教授は解説。ケアにあたる精神科看護師としての重要な立ち位置も、実はここにあることを重ねて強調する。
「このような思考は、〝トラウマインフォームドケア(TIC)〟とも呼ばれ、精神科を含む多くの看護師がトラウマに関する知識や対応を身につけ、ケアをする対象の人たちに対して、〝ひょっとしたらトラウマがあるかもしれない〟との観点をもって対応する支援の枠組み強化が今、看護の現場で重要視されています。これがアセスメント力であり、精神看護学を専門とする私の重要な研究テーマの1つもここにあります」
学生たちには、精神科に〝負〟のイメージを持つことなく、自ら進んで精神看護学の学びの領域に足を踏み入れてもらいたいと願う渡邊教授である。
「私の研究室には今、アセスメント力のさらなる向上をめざして、精神看護学をもっと深く学びたいという学生がいます。その数はまだまだ多いとは言えませんが、より高い意識をもって学び続けるどん欲な姿勢に期待感を抱きながら、学生たち一人ひとりと接しています」
渡邊教授に指導上の重要な点を伺うと、「精神疾患は誰にでも起こり得る、身近な病気であると認識すること」と返ってきた。
「精神看護学は目に見えない心を対象にする看護。患者さんはこういう人、と決めつけることなくその人の今までの人生を聴き、想像し、知識とつなげてアセスメントする力が重要です。だからこそ、なるべく柔軟な思考を持つ若いうちに興味をもって学んでほしい分野なのです。逆に、指導する立場の私たちとしては、その知識のさらなる普及のために、これまで以上に研鑽を積み重ねていかなければならないと考えています」
「トラウマとは戦争、災害など特殊な出来事によって生じるもの、と認識している方もまだ多いと思います。しかし現在、虐待、いじめやハラスメントなど、より身近な生活の中で生じる〝心の傷〟として、その概念は拡大しています。」
トラウマの捉え方が一般的になることにより、これまで「うつ病」「統合失調症」「パーソナリティ障害」などと診断されてきた方のなかにも、実はトラウマが影響しているのではないかとの考え方が広まってきたと渡邊教授は解説。ケアにあたる精神科看護師としての重要な立ち位置も、実はここにあることを重ねて強調する。
「このような思考は、〝トラウマインフォームドケア(TIC)〟とも呼ばれ、精神科を含む多くの看護師がトラウマに関する知識や対応を身につけ、ケアをする対象の人たちに対して、〝ひょっとしたらトラウマがあるかもしれない〟との観点をもって対応する支援の枠組み強化が今、看護の現場で重要視されています。これがアセスメント力であり、精神看護学を専門とする私の重要な研究テーマの1つもここにあります」
学生たちには、精神科に〝負〟のイメージを持つことなく、自ら進んで精神看護学の学びの領域に足を踏み入れてもらいたいと願う渡邊教授である。
「私の研究室には今、アセスメント力のさらなる向上をめざして、精神看護学をもっと深く学びたいという学生がいます。その数はまだまだ多いとは言えませんが、より高い意識をもって学び続けるどん欲な姿勢に期待感を抱きながら、学生たち一人ひとりと接しています」
渡邊教授に指導上の重要な点を伺うと、「精神疾患は誰にでも起こり得る、身近な病気であると認識すること」と返ってきた。
「精神看護学は目に見えない心を対象にする看護。患者さんはこういう人、と決めつけることなくその人の今までの人生を聴き、想像し、知識とつなげてアセスメントする力が重要です。だからこそ、なるべく柔軟な思考を持つ若いうちに興味をもって学んでほしい分野なのです。逆に、指導する立場の私たちとしては、その知識のさらなる普及のために、これまで以上に研鑽を積み重ねていかなければならないと考えています」